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International Mountain Leader

International
Mountain
Leader

~ 日本の山の紹介 ~

■ 日本の位置

日本はアジア東部にある島国で、北海道本州四国九州と大きな 4つの島から構成されています。ドイツやベトナム、パラグアイと同じくらいの国土面積があります。

自然が豊かで、国土の 75%山地が占めてる山国でもあります。縦に細長い形をしており、北と南では気候にも違いがあり、東日本のほとんどの山は冬には積雪し、登山のためには雪山装備が必要になります。

■ 日本の四季

日本には明瞭な四季があるのも特徴の一つで、山では四季それぞれで違ったアクティビティを楽しめます。

には雪解けとともに、里山ではや菜の花が咲き始め、山中が新緑の優しい緑で埋まります。みずみずしい山菜が取れるのもこの時期ならではで、天ぷらなどにして美味しくいただけます。

高山では厳しい寒さも緩み残雪でのバックカントリースノーシューを楽しめます。青空、雪、新緑による色のグラデーションもきれいです。

は北海道や東北の山、日本アルプスの高山、富士山などが登山のハイシーズンを迎えます。蒸し暑い日が続く下界でも、3000m を超える高山では 20度以下の涼しい避暑地となります。

樹林帯と岩稜帯などの森林限界を超えた場所を同時に楽しめるのも日本の山の特徴です。高山植物もつかの間の夏を謳歌するかのように咲き乱れます。

また、日本独自の登山文化である沢登りや、キャニオニングなどの沢を使ったアクティビティも夏の醍醐味です。

になると山々は紅葉で赤や黄に染まり、カラフルな山歩きが楽しめます。高山にはチラホラと新雪の便りが届きはじめ、里山では栗や柿、りんごなどの果物、きのこ類も取れ、収穫の秋を迎えます。きのこ類がたっぷり入った鍋料理がこの時期のおすすめです。

日本は世界有数の豪雪地帯で、を迎えると、特に上越エリアでは 1日で 1m以上も雪が積もる地域もあります。

高山は完全に雪に閉ざされ、しっかりとした雪山技術がないと入れませんが、里山ではスノーシューを使ったスノーハイキングやバックカントリースキーが楽しめます。

■ 日本の気候

四季それぞれで気候には特徴がありますが、日本の天候は偏西風の影響で西から変わっていきます。

春と秋は似た天候で、移動性の高気圧と低気圧が交互に訪れ、高気圧が来ているときは晴れ、低気圧が来ているときは天候が崩れます。また、6月の梅雨の時期には梅雨前線が、には秋雨前線が本州南岸の太平洋上に停滞することが多く、天気は不安定になります。

7月に入り、梅雨が明けると夏山シーズン本番になります。台風が来ない限り、おおむね晴れていることが多く、気温も高い日が続きますが、午後には雷雨が頻繁に発生しますので、注意が必要です。

は日本海側と太平洋側で対象的な天気になります。本州の西側に高気圧、北海道の東に低気圧の西高東低の気圧配置になることが多く、日本海側では降雪が、太平洋側ではカラッと晴れた日が続く天候となります。本州南岸を低気圧が通過するときは太平洋側の山でも雪が降ります。

■ 日本は火山大国

世界には活火山が1500ほどあると言われてますが、日本には活火山が 110以上もあり、全世界の火山の1割弱がある火山大国です。有名な山だと富士山や浅間山、立山、桜島などが挙げられ、身近に火山ガスを感じられる山もあります。

日本に温泉が多いのも火山のおかげで、温泉文化は日本独特のものです。たいていの登山口には温泉がありますので、ぜひ下山後は温泉に寄ってみてください。疲れが癒やされると思います。泉質も地域によって多種多様なので、いろんな温泉を巡るのも面白いです。

■ 日本のグルメ

日本は美味しい食事にも定評があります。山麓の食堂や宿泊施設では、山菜きのこなどの山の幸をふんだんに使った郷土料理も色々と提供しており、その地域でしか食べられない料理も多いのでお見逃しなく。

また、日本は周囲を海に囲まれていますので、海沿いの食堂では新鮮な魚を使ったメニューも豊富です。

■ 世界遺産の山

                          日本には、富士山を筆頭に、世界遺産に登録されている山や山域が4箇所あります。東北の白神山地富士山、関西の紀伊山地、九州の屋久島です。

白神山地と屋久島は自然遺産として登録されていますが、富士山と紀伊山地は文化遺産として登録されています。

文化遺産の要素の一つには宗教的要素が挙げられます。紀伊山地は修験道が、富士山は富士講が大きく関わっています。

修験道は今から1400年ほど前の飛鳥時代頃に成立し、日本独自の山岳信仰仏教道教の要素が加わった宗教で、山中で厳しい修行を積むことによって悟りを開くことを目的にしていました。当時の修行の中心地は吉野や大峰、熊野、高野山などの紀伊山地の山岳エリアで、山岳エリア(霊場)と各エリアを結ぶ道である熊野古道(参詣道)などが登録されています。

フランスとスペインをつなぐ巡礼路である『サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路』も世界遺産に登録されていますが、紀伊山地の参詣道と合わせ、として世界遺産に登録されている場所はこの 2箇所しかありません。

また、江戸時代の後期に爆発的に流行した富士講は、簡単に言ってしまうと、富士山に登ることによってご利益を得るという民間宗教ですが、一部で修験道の流れを組んでいます。現在の富士山の登山者はほとんどが山頂を目的としたレジャーの登山者ですが、一部で白装束を着た富士講の信者の方々をまだ見かけることもあります。


北 海 道

北海道は日本で最北にあるエリアです。そのため、本州の山に比べて気温は低めで、夏でも快適に低山ハイクができます。反面、初雪は早く、例年 9月末には高山で雪が降り始めるため、夏山シーズンは非常に短く、すぐに雪山シーズンとなります。

スキーやスノーシューを使った雪のアクティビティが盛んで、特にニセコ周辺のパウダースノーは世界的に有名です。植生も本州とは違い、独特な高山植物を見ることができます。日本で唯一ヒグマが出没するエリアなため注意も必要です。

代表的な山:利尻山、礼文岳、羅臼岳、トムラウシ、十勝岳、大雪山、羊蹄山、北海道駒ヶ岳

東 北

日本の他のエリアの山に比べて人が少なく、静かな山歩きが楽しめるのが東北の山の特徴です。世界遺産の白神山地をはじめ、八甲田山、八幡平、飯豊連峰など奥深い山域が多いエリアです。岩木山や岩手山、磐梯山、安達太良山などのどっしりとした独立峰もあります。鳥海山や早池峰山、焼石岳などは地域固有の高山植物で有名です。

北海道程ではないものの、本州の北部にあることより降雪は早く、10月頃から雪が降り始めます。雪をまとった樹氷群、いわゆるスノーモンスターが見られる蔵王や西吾妻山のスノーシューハイクもおすすめです。

代表的な山:岩手山、白神岳、八甲田山、磐梯山、鳥海山、岩木山、燧ヶ岳、那須岳

上 越

上越エリアの特徴は冬の豪雪が挙げられます。特に日本海側のエリアで雪が多く、山間部の多い場所では数メートルも積もることがあります。

標高が高い山は少なく、妙高山の 2454m が最高峰です。苗場山や妙高山、志賀高原で見られる山頂湿原や、奇岩が連なる妙義山、岩稜帯のある八海山や戸隠山、アルプス以外で雷鳥が見られる火打岳など個性的な山が多いエリアです。雪が多いことより、スキーやスノーシューを使った活動も存分に楽しめます。

代表的な山:谷川岳、苗場山、火打岳、妙高山、四阿山、八海山、妙義山、志賀高原、巻機山、戸隠山

関 東

東京を中心とした首都圏をぐるっと取り囲むように複数の山域が展開しています。日光連山、奥武蔵、奥多摩、奥秩父、丹沢、箱根、御坂山塊、伊豆など様々なエリアがあります。

日光や奥秩父には 2000m を超える山もありますが、全体的に 1000m前後の低山が中心で、ほとんどが東京から日帰りで行けるため、ハイカーに人気の山も多く、特に東京都の高尾山(599m)は、毎日数千人が登る世界で最も登山者の多い山です。

関東周辺の山は富士山にも近いエリアなため、富士山を見るために登る登山者も多数います。

代表的な山:高尾山、男体山、筑波山、金時山、丹沢山、御岳山、雲取山、瑞牆山、天城山

北アルプス

北アルプスは日本で最も人気の高い山域です。日本には 3000m 以上の山が 21座ありますが、富士山以外の 3000m峰は日本アルプス周辺に集中しており、そのうちの 10峰は北アルプスにあります。

縦に長く連なる山脈で、白馬岳、鹿島槍ヶ岳、剣岳、燕岳、槍ヶ岳、穂高岳などの容姿端麗な山も数多く見られます。

整備された山小屋も多いため、数日間を使って、山小屋を繋いだ旅をするような縦走プランもおすすめです。特に中部エリアはアプローチも長めな奥深い場所で、湿原なども広がっていて静かな山旅が楽しめます。

代表的な山:白馬岳、鹿島槍ヶ岳、立山、剣岳、燕岳、槍ヶ岳、穂高岳、雲の平、笠ヶ岳、焼岳

八ヶ岳

北アルプスと南アルプスの間にある山塊で、最高峰は赤岳の2889m。首都圏から近く、手軽にアルプス風の雰囲気が味わえるため人気のエリアです。

北部と南部で違った顔を持っており、北部は針葉樹林を中心とした原生林の樹林帯です。苔の宝庫で 500種類の苔があるとも言われており、幻想的な苔の森も楽しめます。

他方、南部は岩峰が続くアルプス的な山容の山が多く、岩稜歩きの技術が必要になります。山小屋が整備されており、各山小屋の食事メニューも楽しみの一つになります。

代表的な山:赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、蓼科山、権現岳、北横岳、縞枯山

南アルプス

北アルプスに比べると一つ一つの山がどっしりとしていて巨大なのが南アルプスの特徴です。3000m峰を 9座かかえ、3193m で標高第 2位北岳が最高峰になります。人気があるのはアクセスの良く、山小屋も整備されている北部の甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、白峰三山、鳳凰三山で、対して南部は一座一座が離れており、それなりの体力が必要になることから登山者も少なく、静かな登山が楽しめます。北アルプスに比べて森林限界が高く、山頂付近まで色濃い樹林帯が続いています。

代表的な山:甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、北岳、農鳥岳、鳳凰三山、塩見岳、荒川三山、赤石岳、聖岳、光岳

富士山

言わずとしれた日本最高峰で 3776m の独立峰。どこから見てもきれいな円錐形の火山で、日本を象徴する山でもあります。

登山者も非常に多く、夏の開山時期は 7/1〜9/10 ですが、毎年この時期に 20万人前後の人が登っています。その標高より、日本で唯一しっかりとした高山病の対策が必要な山になります。

世界文化遺産に登録されていますが、富士山自体が登録されているわけではなく、周囲の湖や登山道、山頂の信仰遺跡群など25の資産から構成されています。

関 西

関西エリアには、世界遺産にも指定されている紀伊半島の大峰や熊野の山々、琵琶湖の東にある鈴鹿山脈、西の比良山地、京都周辺の山、六甲山地など、高さこそないものの、山の多いエリアです。

ほとんどの山が日帰りで行けるため、散歩の延長で手軽に登りに来る方も多く、地元の人の憩いの場所にもなっています。

また、紀伊半島や京都周辺の山は修験道などの宗教登山の対象となっている山も多く、歴史を感じられる神社仏閣なども山中で良く見られます。

代表的な山:大峰山、八経ヶ岳、藤原岳、御在所岳、六甲山、武奈ヶ岳、高野山、比叡山

中 国

中国地方には際立って高い山はなく、最高峰は伯耆大山の1729m になります。このエリアのほとんどの山は標高が 1300m 前後で、中国地方を東西に貫く中国山地にあります。

なだらかな山容の山が多く、開放的で、眺めの良い山が多いのが特徴です。北部の日本海側と南部の瀬戸内海側では気候が大きく違い、日本海側の山は冬には積雪しますが、南部の瀬戸内海側は温暖な気候で、冬でも暖かい環境下での登山を楽しめます。

代表的な山:伯耆大山、氷ノ山、蕨山、三瓶山、三倉岳

四 国

四国の中央を東西に走る四国山地がメインとなるエリアで、最高峰は石槌山の 1982m です。四国エリアは温暖な気候ではありますが、四国山地の山々は冬には積雪します。

四国八十八ヶ所のお遍路が有名なことより、山岳エリアにも多くのお寺があり、修験道が盛んな山も多くあります。

また、香川県の讃岐地方には、おむすび山と呼ばれる円錐形の山が平野部にいくつも点在しており、眺めるのも面白いです。

代表的な山:石槌山、剣山、瓶ヶ森、三嶺、笹ヶ峰

九 州

九州は「火の国」と言われるほど火山の多いエリアで、19の活火山があります。阿蘇山や雲仙普賢岳、由布岳や九重山、高千穂連峰、桜島など有名な火山を多く抱えています。

特に桜島は年間200回以上噴火しており、2日に1回のペースです。また、阿蘇山のカルデラは世界最大で、阿蘇に登るとその雄大な景色に驚かされます。九州の山の特徴として、温暖な気候により深い樹林に覆われている山が多いです。

世界遺産に登録されている屋久島は、島自体がほぼ山で、1ヶ月に35日雨が降ると言われるくらいに雨が多く、熱帯地方のような濃い樹林帯や高層湿原を見ることができます。九州最高峰の宮之浦岳(1936m) も屋久島にあります。

代表的な山:九重山、普賢岳、由布岳、阿蘇山、霧島連山、祖母山、開聞岳、宮之浦岳


~ IML 概要 ~

IMLとは

IML は International Mountain Leader の略で、日本語にすると「国際マウンテンリーダー」になります。

IML の資格を取ると、日本以外の UIMLA の加盟国でも、四季を通じてハイキング、トレッキングを主体としたガイド、サポート、講習を行うことができます。

                       

UIMLAとは

UIMLA は Union of International Mountain Leader の略で、国内の名称は「国際マウンテンリーダー連盟」となります。

UIMLA はトレッキング、ハイキングエリアを対象とした国際的なガイド組織です。日本山岳ガイド協会も 2020年11月に加盟し、UIMLA 基準に準拠して、世界標準である国際マウンテンリーダーの育成と認定を行うことが可能となりました。

詳細は UIMLA のサイトを参照してください。
https://uimla.org/

IMLの資格を取るには

                       

日本山岳ガイド協会の登山ガイドステージ II の付帯資格となるため、登山ガイドステージ II の資格を取る必要があります。

詳細は日本山岳ガイド協会のサイトを参照してください。
https://jfmga.jp/

IML認定者ができることは?

日本国内での職能範囲は登山ガイドステージ Ⅱの職能範囲に準じます。

無積雪期の一般登山道となり、登山地図の実線で示されたコースです。破線、難路と示された登山道のガイドや沢登りはできません。

積雪期は、森林限界を越えず、ロープウェイなど冬季も開設されている施設から 2-3時間の日帰りできる範囲となります。

日本国外においては、無積雪期、積雪期も含めてハイキング、トレッキングを主体としたガイド、サポート、講習を行うことができます。

氷河上の活動やショートロープやアルパイン用具を使用した活動、スキー・スノーボードを使用する活動はできません。

トップページの写真の一部は檢見﨑誠ガイドにご提供いただきました。